人間の脳は大きく分けて3種類?
よく右脳人間と左脳人間という言い方は聞きますよね。右脳は芸術家タイプで、左脳は理性的なタイプという感じ。
実際は、こんなにハッキリ分かれているものではなく、いろいろな働きが組み合わさっているわけですが…
人間の脳についての学説は難しくて、なかなか理解できるものではありません。
そこで、今回は、ザックリ3種類に分けて考えた学説をご紹介します。
なぜなら、自己啓発を考える場合、わかりやすく納得しやすい学説だからです。
まずは、下の図を見てください(人間の脳を縦半分に割った状態だと思ってください)。
これは、アメリカ国立精神衛生研究所の脳進化学者ポール・D・マクリーン博士による「3つの脳の進化」という仮説を図にしたものです。
ご覧のように、脳は人間脳<理性>・哺乳類脳<感情>・爬虫類脳<本能>の3つに分かれています。
それぞれの違いを表にまとめてみますと、下のようになります。
爬虫類脳 | 哺乳類脳 | 人間脳 | |
場所 | 脳幹 大脳基底核 脊髄 | 大脳辺縁系 (偏桃体 海馬など) | 大脳新皮質 |
別名 | 反射脳 原始爬虫類脳 | 情動脳 旧哺乳類脳 | 理性能 新哺乳類脳 |
主な働き | 生命維持 本能 | 感情 情動 | 思考 論理 |
コントロール するもの | 心拍・呼吸 飲食・体温 性行動 | 喜び・怒り 恐怖・愛情 嫌悪 | 記憶・知能 言語・創造 倫理 |
主な目的 | 生きるため | 感じるため | 考えるため |
主な欲求 | 安全でいたい | 仲間を作りたい 関わりたい | 成長したい |
この仮説は1990年に出版された「3つの脳の進化(The Triune Brain in Evolution」に書かれていたものです。
最初は爬虫類脳だけだったものが、哺乳類脳ができ、そして人間脳ができ、進化してきたという説で、現在は否定されている部分もあるようです(そんな単純なもんじゃねーだろ的な)。
ただ、こうやって比較してみると、なんとなく納得できるような気がしませんか??
という訳で、さらにそれぞれについて詳しく見てみますね。
爬虫類脳
生きるための脳=爬虫類脳の解説です。爬虫類脳は脳幹や脊髄など、脳の下側から首にかけての部分にあります。
腹がヘッタら何か食べたい、喉が渇いたから水を探す。このように生き物が自然な行動をとってしまうのは「爬虫類脳」の働きによるもの。
暑いと汗をかいたり、寒いとブルブル震えたりする無意識の反応も、生命の危険を感じてゾッとしたり、反射的に逃げてしまうの防衛反応も爬虫類脳のせいです。
あ、よく「脊髄反射」って、ネットなどで「何も考えずに反射的に言葉を発してしまうこと」を言いますが、これは造語です笑。
本当は、椅子に座って膝を叩くと足が跳ね上がる脚気の検査のようなもののことです。って、脚気の検査って今しないですよね?ビタミンB1不足によって起こる病気のことです(これ豆)。
えーと、熱いものに触った時に思わず手を引っ込めてしまうような反応のこと、と言えば伝わるでしょうか?
また、意識に関係なく動いている心臓や、交感神経や副交感神経の働きも、爬虫類脳によるものだとされています。
提唱者のマクリーンさんによれば、爬虫類脳のコミュニケーションは以下の4つだけなのだそうです。
- あいさつ
- 攻撃・侵略
- 球根・求愛
- 服従
基本的に「自己中心的」なのが爬虫類脳の特徴。目の前の短絡的な欲求に従おうとします。
また、最大の特徴は「過去の経験にこだわる」「新しいことは嫌い」ということ。
爬虫類脳が強い人は、ガンコで変わろうとしない人に見えるかもしれませんね。
哺乳類脳
感じるための脳=哺乳類脳についても詳しく見てみましょう。
哺乳類は、大脳辺縁系と呼ばれる場所にあり、偏桃体や海馬という部分が含まれています。
「動物の赤ちゃんを見るとカワイイと思う」「キレイなものを見ると嬉しい」「美味しいものを食べるとシアワセ」と感じるのが、哺乳類脳の働きです。
なぜ、そんなことを感じるようになったのでしょうか?
それは、自分の遺伝子を残すために、群れを作って仲間と一緒に協力して暮らしていく必要があったからです。
そのために、快・不快の刺激に反応し、「怒り」「愛情」「恐怖」「喜び」「嫌悪」という衝動的感情をコントロールするようになった、というのがマクローンさんの説です。
なるべく、自分の感情が安心する仲間と「群れを作りたい」という流れですね。
そして、強いものに従う性質もあるのでリーダーができ、上下の関係も生まれます。
群れになることは、安心感もありますが、様々なストレスのもとにもなります。哺乳類脳の強い場合、感情の起伏が激しく、ストレスを感じやすくなるとも言えます。
人間脳
最後に、考えるための脳=人間脳についてです。
「お腹がすいたけど、ダイエットしなければいけないからガマンする」というのが、人間脳ならではの思考です。
人間脳は大脳新皮質のことで、右脳と左脳に分かれます。
右脳と左脳については、別の機会に考えることにして、マクローンさんの考える人間脳についての考察をしていきます。
人間脳は、言語・認知・空間把握・学習・創造力・論理的思考などをコントロールしています。
最大の特徴は、自分自身について考えるということで、これは人間だけにある能力と言われています。
自分自身について考えることを「内省」または「内観」と言うそうですが、このことにより、未来について考えられるとマクローンさんは言っています。
未来について考える
⇒なりたい自分について考える
⇒「成長したい」「創造したい」「目標達成したい」
⇒学習する・目的意識を持って行動する
というわけですね。
人間脳があるからこそ、本能(爬虫類脳)や感情(哺乳類脳)に支配されない行動がとれる、ということです。
どうでしょう?まさに自己啓発のための脳だと言えるのではないでしょうか。
それぞれの脳の働きをうまく使っていこう
マクリーンさんによると
「3つの脳が同居していること=人間の苦悩」とのこと。
人間脳はストレスに弱く、変化を嫌爬虫類脳や感情に反応する哺乳類脳の影響を受けてしまうことが多いからなのです。
つまり、自己啓発を考える場合、爬虫類脳や哺乳類脳を味方につける方法を考えるか、無視するための強い意志を持つ必要があるということになります。
無視するより、味方につける方法を考える方がうまくいきそうな気がしますが、あなたはどう思いますか?
いずれにしても、それぞれの脳の働きを理解して、なるべくうまくいくような使い方を考えていくことが、自己啓発のコツなのではないでしょうか。
よかったら、ご意見・ご感想などもお聞かせください。